セルインメイとは?
「セルインメイ」とは株式の投資格言で、保有している株式は5月に一旦売却するのが望ましいとの意味を示すものです。
この格言には「Sell in May and go away. Do not come back until Halloween.」(5月に売り逃げなさい。そして(10月末の)ハロウィンまで戻ってこないように)との続きがあります。
単に5月に株が下がることを示唆しているのではなく、「5月から10月にかけて株価は下がる傾向にあるので、5月のうちに売却しておきましょう。そして、11月からは株価は上がる傾向にあるので、11月から投資を再開しましょう」ということを意味した格言となります。
なぜセルインメイが起こる?
では、なぜ5月以降株価は軟調になる傾向にあるのでしょうか。
市場では、色々な説が言われています。
①6月決算期のヘッジファンドの換金売り
ヘッジファンドの多くが6月を決算期としています。
5月頃から、決算期に向けて解約件数が増えるため、ヘッジファンドが保有している銘柄を一部換金売りする必要があり、そのため株価は軟調になりやすくなると言われています。
②年末株高時の信用買い決済
株価は毎年、年末の12月頃に高値をつける傾向があります。投資家はそのころ強気に株を買い、年末は信用取引の買い残が増加する傾向にあります。
信用取引で買った株は、半年以内に売却する必要があります。そのため、年末に株を買った投資家の売りが、半年後の5月頃に出てくるとの説もあります。
③税金還付金による再投資
米国では、1月末から5月にかけて前年度に納めた税金の還付がなされます。この税金の還付金額は20~30兆円にのぼるとも言われています。1月~5月は還付金が再投資にまわり、株価は上昇しやすいですが、還付期間が終了すると資金が再投資にまわらなくなり、株価は軟調に推移するとも言われています。
④海外投資家の夏季休暇
海外の機関投資家の多くは夏季に1か月以上休暇を取得します。この夏季休暇中は市場参加者が少なくなり、出来高が減少することから株価は上がりにくくなると言われています。
⑤Sell in Mayの意識による投資手控え
多くの投資家はSell in Mayの格言を知っていて、それを意識しています。
卵が先かニワトリが先かの議論はありますが、投資家がSell in Mayを意識することにより、5月~10月は投資が手控えられる傾向にあるという説もあります。
ただ、上記の説についてはいずれも確証があるというものではありません。
セルインメイの検証!
では実際、
・4月終に売って10月終に買い戻す
・10月終に売って4月終に買い戻す
という戦略に有意差はあるのでしょうか?
1992年以降の日経平均のデータを取り、実際にそのパフォーマンスについて検証してみました。
結果として、そのパフォーマンスに圧倒的な差異を見ることができました。
1992年以降の日経平均をもとに半年ごとに出している、投資時期に関するデータを更新しましたの。
【資産増加率】
・10月終値で買い⇒4月終値で売る場合:358%
・4月終値で買い⇒10月終値で売る場合:37%
・売買をせずにずっと保有していた場合:129% pic.twitter.com/MdFOqvgy73— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
1992年から4月終に売って10月終に買い戻すという戦略を取り続けていたら、358%のパフォーマンスを得ることができ(100万円が358万円になる)、逆に10月終に売って4月終に買い戻すという戦略を取り続けていたら37%のパフォーマンスとなってしまう(100万円が37万円になる)という結果が得られました。
1992年以降、途中売買せずに株を持ち続けていたときのパフォーマンスは129%であることからも、4月終に売って10月終に買い戻すという戦略は非常に有効であると言えます。
このデータだと、5月以降11月まで株の購入は圧倒的に避けた方がいいですの。
ただ、それだと面白くなく他の投資戦略は立てられないかと思い、(データ取得可能だった)2011年以降のREIT指数で同様のデータを取ってみましたの。— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
【2011年以降の東証REIT指数から算出した資産増加率】
・10月終値で買い⇒4月終値で売る場合:133%
・4月終値で買い⇒10月終値で売る場合:133%
・売買をせずにずっと保有していた場合:178% pic.twitter.com/b1xFEC5Zdm— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
2011年以降とデータ数は少ないですが、REITの場合、購入時期によるパフォーマンスの差は見られませんでしたの!
— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
REITに関してはだいたいどの月も中旬が安く月末が高いという傾向があります。
ファンドのお化粧買い?かどうかはわかりませんが、中旬に買うということをすれば若干パフォーマンス上がるかもです。— まちゃ (@macha_0313) 2018年5月1日
ちなみに比較のため2011年以降の日経平均で同様のデータを取ってみると、10月終値買い方がパフォーマンスは44%ほど上回っていましたの。
【資産増加率】
・10月終値で買い⇒4月終値で売る場合:191%
・4月終値で買い⇒10月終値で売る場合:132%
・売買をせずにずっと保有していた場合:228% pic.twitter.com/UeRUnOeRX4— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
4月終値で買い⇒10月終値で売る場合の資産増加率は、
REIT指数:133%
日経平均:132%
でややREIT指数の方が上回っていますし、未検証ではありますがREIT指数の方が日経平均よりボラティリティが小さい(リスクが小さい)とするなら、5月以降REITへの投資を増やす戦略はありかなと思いますの。— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
とりあえず明日から5月相場が始まるので、多少ノリで買った低配当銘柄についてはできるだけ速やかに切るようにして防御力高めでいきたいと思っていますの。
— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年4月30日
最後に
これらのデータは、バブル崩壊後、長く不況が続いていたときであっても適切な戦略を取りながら株式投資を続けていたのであれば、堅実に資産を増やすことができたということを示しています。
近年、日用品の値上がりも続いていますし、インフレを考えるともはや株式投資をしない方がリスクは高くなると言えます。
投資に関する勉強をきちんと行い、資産防衛を行っていくことは必須になっていくだろうと考えます。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」
かの鉄血宰相ビスマルクが残していった言葉ですの。もちろん今年はどうなるかわかりませんが、なのは賢者を目指していくため、経験(勘)で売買するのではなく、歴史(統計データ)を参考にして売買していこうと思っていますの。
— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2017年4月30日
※2018/11/3データ更新
1992年以降の日経平均をもとに半年ごとに出している、投資時期に関するデータを更新しましたの。
【資産増加率】
・10月終値で買い⇒4月終値で売る場合:358%
・4月終値で買い⇒10月終値で売る場合:36%
・売買をせずにずっと保有していた場合:126% pic.twitter.com/j0OIaYNMa5— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年11月3日
途中27年ぶりの日経平均高値更新はありましたが、結局2018年の4月末⇒10月末は2年ぶりにセオリー通りの下落となりましたの。
米中貿易摩擦、米中間選挙など今後の展開について不透明な点も多いですが、2019年4月末までの投資戦略を立てる上での参考にしてくださいですの。
— なのなの@けんぎょう投資家 (@nano_nano2001) 2018年11月3日